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ExpressLRS(ELRS)の使い方 / 長距離・高速通信プロトコル

ここではラジコン航空機向けの新しい通信プロトコル : ExpressLRS(ELRS)を使ってドローンをコントロールする手順をまとめてみました。
なお、マイクロドローン/FPVドローン/レーシングドローンの詳細については 初心者のためのマイクロドローン入門 FPVドローン / レーシングドローンの飛ばし方 をご覧ください。

ExpressLRS(ELRS)とは

ExpressLRS transmitter in working
ExpressLRS(ELRS)とは、オープンソースで開発が進められているラジコン航空機向けの新しい通信プロトコルです。 Semtech社 の開発したオープンな省電力無線通信技術 LoRa (SX127x/SX1280チップ)をベースにして開発されています。 2021年1月に最初のファームウェア(Ver 0.1.0 RC1)がリリースされ、その後も活発に開発が続けられています。 使用するバンドは 915 MHz(FCC), 868 MHz(EU) と 2.4 GHz。 電波到達距離が長く(2.4 GHz出力100mWで約10km-30km)、低遅延で高速な通信が可能(50Hz - 250Hz(868/915 MHz) / 500Hz(2.4 GHz) の範囲で調整可能)。 OpenTX/EdgeTX LUAスクリプト またはTBS Crossfire (CRSF)をサポートする送信機で使用可能。 各メーカーとも続々と対応製品をリリースしています。 ただし開発途上の仕様であるため、各製品やファームウェアは次々と改良版が登場しており、使いこなすには若干の研究が必要です。
ExpressLRSのオフィシャルサイトでは、 電波到達距離を競うコンペ を実施しています。良い結果が出たら、あなたもエントリーしてみてはいかがでしょうか。

TX Backpackとは

ExpressLRSのオプション機能の一つです。 espnowというプロトコルを使って、プロポからFPV関連デバイスを無線で制御することができます。 例えばプロポでFPVゴーグルの受信周波数を変更する、などができます。 この機能を使うには、ExpressLRS送信機と制御するデバイス双方にESP8285チップを搭載している必要があります。 このESP8285チップが"TX-Backpack"と呼ばれています。

ExpressLRS(ELRS)の設定手順

ここでは、ExpressLRS(ELRS)の送受信機の設定方法を、順を追って解説します。
なお、ELRS送信機を使用するには、プロポのOpenTXが2.3.12以降にバージョンアップされている必要があります。 (EdgeTXでは全てのバージョンで使用可能です)
ExpressLRS Configuratorをインストールする
パソコンにツール"ExpressLRS Configurator"をインストールします。 これは送信機、受信機のファームウェアの設定、作成(ビルド)および更新に使用するツールです。
プロポにExpressLRS送信機を取り付ける
外付けのELRS送信機を使用する場合は、プロポのモジュールベイにそれを取り付けます。 プロポのSDカードの"\SCRIPTS\TOOLS\"フォルダにはELRS Luaスクリプトを格納します。 そしてプロポ(OpenTX/EdgeTX)で、バインドしたい ドローンの「MODEL」を作成 します。
ExpressLRS送信機のファームウェアを更新する
ExpressLRSは開発中のプロトコルであるため、頻繁にバージョンアップが続いています。 アップデートの方法には、USBケーブル(UART)を使う方法と、Wifiを使う方法があります。
ExpressLRS送信機を設定する
プロポでELRS Luaスクリプトを起動すると、ExpressLRS送信機の設定を行うことができます。 パケットレートや出力などが変更できます。 送信機自身にディスプレイとジョイスティックが搭載されている場合は、Luaスクリプトの代わりに、それを使って設定することもできます。
ExpressLRS受信機のファームウェアを更新する
送信機のバージョンに合わせて受信機のファームウェアを更新します。 FC(Flight Controller)とUARTで接続されている外付け受信機の場合は、ExpressLRS Configuratorを使って更新します。 FCとSPIで接続されている、FCに内蔵されている受信機の場合は、受信機のファームウェアはFCのファームウェアに含まれています。 この場合は、 Betaflight Configurator を使って、FCのファームウェアをバージョンアップすることによって更新します。
送信機と受信機をバインドする
ExpressLRSの送信機と受信機をバインドするには、「Binding Phrase(バインディング・フレーズ)」という“合言葉”を使う方法と、手動でバインドする方法の2つがあります。 また、外付け受信機を使う場合と、FC(Flight Controller)に内蔵されている受信機を使う場合では、設定方法が異なります。
詳しい手順は ExpressLRS オフィシャルサイト で「Quick Start」ボタンをクリックしてページをめくっていくと読むことができます。

アンテナモードの選択:Geminiモードとは

ExpressLRS バージョン3.3より、新しいアンテナモード"Gemini(ふたご)"が実装されました。 これは、一つのパケットデーターを、異なる2つのアンテナ、2つの周波数で同時に送受信する機能です。 より安定したデーター送受信を行うことができます。 その代わりプロポのバッテリー消費も激しくなります。
Geminiモードを使用するには、Geminiモードに対応した送信機と、GeminiまたはTrue Diversityモードに対応した受信機が必要です。 そして双方のファームウェアをExpressLRS バージョン3.3以降にアップデートする必要があります。 プロポのExpressLRS Luaスクリプトを起動し、"Antenna Mode"欄を"Gemini"に設定します。 さらに"Other Device"メニューから、バインドしている受信機の名前を選択し、"Rx Mode"欄を"Gemini"に設定します。
なお、送信機と受信機のアンテナモードの指定により、次のように動作が変化します。
ExpressLRS Antenna Mode
Antenna Mode(送信機) Rx Mode(受信機) 動作
ANT1/ANT2/Switch Single Single
Diversity Diversity
Gemini Single
Gemini Single Single
Diversity Diversity
Gemini Gemini
アンテナモードの意味は、以下の通りです。
ExpressLRS Antenna Mode
送信機のアンテナモード 意味
ANT1/ANT2 2つのアンテナのうち、指定したどちらか一方のみを通信に使用します。
Switch 2つのアンテナを切り替えながら通信します。
Gemini Geminiモードを指定します。