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NASAアポロ計画 クローラー・トランスポーター
Crawler Transporter(CT)

Crawler Transporter(CT)
  • 全長:40メートル(131 ft)
  • 全幅:35メートル(114 ft)
  • 全高:6~8メートル(20~26ft)可変
  • 重量:2,721トン(約550万ポンド)
  • 最高速度:積載時1.6km/h(1.0mph) / 空車時3.2km/h(2.0mph)
  • 燃費:568リットル(150ガロン)/マイル(リッターあたり2.8メートル)
  • 製造:Marion Power Shovel Co. of Ohio.
  • 価格:1台約1400万USドル
  • 納車:1964年11月1日

概要


NASA Apollo Crawler Transporter
サターンロケットの組み立ては、本体を雨や嵐、そしてケネディスペースセンターに吹く潮風から守るため、VAB(Vehicle Assembly Building:組み立てビル)で行い、その後発射台に運ぶ方式がとられた。 このロケットの運搬方式には、車両を使うほかに、運河を造ってバージで行う方法、レールを引いて台車で運ぶ方法などが検討された。 当初は発射台と一体化したクローラーが検討されたが、打ち上げ後のダメージと修理に掛かる時間を考えて、移動式発射台とクローラーは完全に分離できるように作られた。
1962年に基本デザインが決定し、1964年11月1日に1台目がメリット島に到着。 最終的に2台のクローラートランスポーター(略称CT)がNASAに引き渡された。 1台はHans(ハンス)、もう1台はFranz(フランツ)と名付けられている。 それは3階建てのビルに等しい高さと、8車線の高速道路に等しい幅がある。 屋根は平らで、その面積は野球場の内野ほどの広さがある。 アポロ計画終了後、SIDE3に付いている階段の形状をはじめ若干の改修が加えられ、現在はスペースシャトルの輸送に使用されている。 クローラーは40年たった現在もその基本設計を変えずに使用され続けている。
建設当時は世界最大のキャタピラ式車両であった。 (現在はBagger 288 German excavator(Google search)に抜かれた。)

66-H-507 May 4, 1966 crawler transporter during test (3 mobile launchers in background)

運用


サターンVの組み立て前に、まずクローラーはMobile Launcher(移動式発射台)を背負いVAB(Vehicle Assembly Building:組み立てビル)に運び込む。 VABでサターンVロケットの組み立てが完了すると、サターンVロケットと移動式発射台載せてLC-39発射台に運ぶ。 移動式発射台は、クローラーのレーザーガイダンスシステムで、正確にLC-39のスタンドに設置される。 次にクローラーはMobile Service Structure(移動式整備塔)を運んでまたLC-39に戻る。 打ち上げ直前に移動式整備塔をパーキングエリアに待避させ、打ち上げ後には移動式発射台をVAB脇の製備地区に運ぶ。
クローラーがVABからLC-39まで移動するのには、11人のクルーによる操縦で約5~8時間かかる。 VABからPad Aまでの距離は約3.5マイル、Pad Bまでは約4マイルある。
車体はジャッキによってプラスマイナス10分傾斜させることが出来、5%の発射台の坂を登るときに、搭載したロケットを水平に保つことが出来る。

70-H-442 March 24, 1970 the crawler-transporter moves under the Mobile Service Structure Ed Hengeveld

構造


前後にはコントロールキャブ(運転席)があり、そこでクローラーの全てのシステムをコントロールすることが出来る。 胴体は2つのキャタピラを持った4台の台車の上に載っている。 各台車は全高3メートル(10 ft)全長12メートル(41 ft)。 各キャタピラは57枚のトレッド・シューが連なっており、このトレッド・シュー1枚は907kgの重量がある。 2台の2,750hpの16シリンダ・ディーゼルエンジンにより、4台の1,000kwの発電機が駆動され、その電力で16台の375馬力の直流トラクション・モーターを駆動している。
姿勢制御(ジャッキ)とステアリング、空調、照明などの交流電源には、2台の1,065 hpのディーゼルエンジンにより、2台の750 kwの発電器が駆動されている。 このパワーを利用して、ステアリングには4台の油圧ポンプが、姿勢制御ジャッキ(JEL:Jacking, Equalizing, Leveling)には8台の油圧ポンプが使用される。
これとは別にMobile Launcher(移動式発射台:スペースシャトルではMobile Launch Platforms(MLP)に改修された)のために2台の150 kwの発電器を搭載している。 なお、燃料タンクの容量は5,000ガロンある。

NASA Apollo Crawler Transporter

価格


当初Marion Power Shovel Co.がNASAに提示した入札価格は約800万ドルであったが、 2年後に完成したときの費用総額は約1400万ドルに上昇していた。 その価格と重要性から、クローラーは"Them Golden Slippers."(金のスリッパ)とあだ名された。

クローラー・トランスポーターの模型

1:144 LUT paper model with BANDAI Apollo 11 Saturn V
クローラー・トランスポーターの模型が発売されています。 当サイトでは、1:144スケールのペーパークラフト アポロ発射台&クローラーを、バンダイ大人の超合金 第一弾 アポロ11号&サターンⅤ型ロケットと組み合わせたものを紹介しています。

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